無力な自分がイヤ

今朝も満員電車。私の斜め後ろくらいに立っていたおばさまが、停車駅で人に押し流されながら降りていく。脇を流されていく姿を見送っている時に彼女が後ろ向きだと気づく。このままだと倒れちゃうんじゃ…と思って手を伸ばした頃におばさまも悲鳴をあげたが、まわりの助けも間に合わずそのままホームへ…。
後頭部を打ちつけるガツッという音が聞こえる距離だった。むしろもっと早く手を伸ばせば捕まえてあげられたかもしれない。彼女の手がかすかに私の手をなでたような気もする。
すぐに駅員が呼ばれ担架が来たが私を含む数名は何もできず立っていた。頭を打っているから動かしちゃいけないという知識しかなかった。彼女が痛がって首を振った瞬間に真っ赤な血が見えて、情けなくも気分が悪くなってしまった。
そのまま電車は動き出したから見届けてはいないけれど、間もなく救急車が来るからどうか無事でいてと願うしかなかった。
無力、無力、無力…
泣きたい。明日押し出されるのは自分かもしれない。
何もできなかった自分がすごくイヤ。

あさみ